わたしは若いころ、10年あまり会社勤めをしていました。仕事というのは化学会社の製造装置を設計するエンジニアです。通常化学プラントと言われるものです。その中でも空気に触れたり、温度が高くなると分解したり変質してしまう化学物質を高純度で分離精製するプラントの設計をしていました。
 それらは全部真空の状態で行うのですが、それでも少しでも条件が狂うと変質してしまって製品として売れないものになってしまうのです。一番多く設計したのは、皆さんが毎日使っているテトロンという名前でも知られるポリエステル繊維やペットボトルの原料の精製装置です。純度を99.99%以上にすることはそれほど難しくはないのですが、一番難しいのは臭いと色の検査に合格することです。もちろん普通の人が肉眼で見るくらいでは分からないほどの色ですし、臭いもそうです。分析してもその原因がよく分からないのです。ただわかっているのは、温度を下げて、滞留時間を短くするとその色や臭いがなくなるという事実でした。
 近代的な最新技術を駆使した化学工場だから、さぞいろんな事が精密に計算されて分かっているのだろうと思いきや、そうではありません。本当はまだまだよく分からないことだらけなのです。理論的にも計算上でもよくわからないけど、経験上こうすればうまくいく、という「ノウハウ」が実際にはとても重要な技術になっています。
 実は信仰の世界もよく似ています。キリスト教信仰はもちろん聖書に基づいています。ですから聖書を正確に精密に研究すれば真理が見えてくるかというと、そういうものでもないのです。一人で孤独の中で聖書を懸命に研究したからといってその意味が明らかになるわけではないのです。人から人へと伝えられた聖書の読み方、まさに「ノウハウ」によらなければ袋小路に迷い込んでしまうでしょう。イエスさまはまずその「ノウハウ」を教えてくださったのです。
その聖書の箇所を読んでみましょう。
    あなたがたは、聖書の中に永遠の命があると思って調べているが、
この聖書は、わたしについてあかしをするものである。
                     ヨハネによる福音書5章39節
教会はこの「ノウハウ」を皆さんに伝えているのです。

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