「知識は力なり」と言ったのは、シェイクスピアと同じ時代の哲学者フランシス・ベーコン(イギリス)です。「シェイクスピア」はベーコンのペンネームだったのではないかと言う人もいるくらい多彩な教養人ですが、後世への一番の貢献は、頭で思い巡らすのではなく、観察や実験を通して本当のことを知ることの大切さを主張したことでしょう。
 本当の知識、生きるために本当に力となる知識の重要性は、初等教育・高等教育の拡大として進展してきました。人生を生きる上での教育のもつ力は時代と共にますます大きくなり、子供を持つ親の最大の関心事は子供にいかに高い教育をつけることができるか、ということです。たしかに現代人の生物としての学名は「ホモ・サピエンス」つまり「賢い人」ですから、とても自然なこととも言えます。
 ところで、日本の大学進学率は大方2000年を境に過半数を占めるようになりました。つまり今の二十代・三十代の人たちは大学卒の人のほうが多数派と言うことになり、大学卒が一つのステータスになる時代は、もはや完全に過去のものとなったのです。明治時代以来続いてきた学歴社会は崩壊し、その人個人の力によって計られる時代になってきました。もちろん実際にはもっと以前から始まっていたのですが、名実ともにそのようになってきたと言うことです。
 これまで多くの親たちが、子供を有名大学に入れたいと願い、そこに入ることができれば、その後の人生が開けてくると思っていたのですが、そうとばかりはいかない時代になってきたようです。むしろひとり一人が自分の内なる力で生き抜いていく力が、今までよりもずっと求められる社会になってきました。
学歴さえあれば何とかなっていた時代は完全に過去のものになり、その現実に生き悩み精神的にドロップアウトしていく若者が増えているのではないでしょうか。知識も学歴もそれを用いて生きる本人次第。知識も学歴も家柄や家族や知人の助けもすべて剥ぎ取った「素の人」そのものがどうであるか、「人格」とさらにその奥にある魂(たましい)・霊と言われる人の中心核に、目を向けなければならないときが来ているのです。

油断することなく、あなたの心を守れ、
命の泉は、これから流れ出るからである。
箴言4:23

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