最近静かな哲学書ブームだそうです。特に女性が増えているとのことで、今まで何十年か毎に起きてきた哲学ブームのなかでも今回の特徴です。哲学と言っても「人生論」あるいは「幸福論」、もっと手軽な「人生の教訓集」などといったものまで入りますから、頭が痛くなるような難しい本ばかりではなさそうです。前回の哲学ブームは1995年に日本語版が出た、ノルウェーの高校の先生が書いた「ソフィーの世界」というわかりやすい本でした。全世界で2300万部も売れたそうです。日本でも60万部以上売れたとのことですから、この種の本としては大ブレークです。
あれから丁度今年は20年になります。大体の感じですが、20年から30年に一度哲学ブームがやってくるような気がします。一般的に一世代を30年としますから、ごく大雑把に一世代に一度哲学ブームがやってくるということです。ということは、どの世代も生きていく中で、一生に一度は人生について、物事の本質について考えるものだと言ってもよいのかも知れません。私も1960年代後半から70年頃にかけてニーチェから始まってサルトルなどの実存主義哲学が日本でもてはやされた頃に青年時代を過ごし、大きな影響を受けたものです。
いずれにしても、目先のことに振り回されている毎日に、ふと立ち止まって人生の目的や物事の原点に思いを向けることはよいことだと思います。聖書はいわゆる哲学書ではありませんが、哲学書よりももっと人生についての根源的な問いに答えてくれます。哲学は人間の理性で考えられる限りのことを教えてくれますが、考えている人間そのものの原点や人生の目的、世界の終末については論外のことです。しかし今生きている「わたし」という存在は、その始まりと終わり抜きには考えることはできません。聖書は私たちに、始まりと終わりから、今どう生きるべきかを示してくれるのです。では聖書の言葉を読んでみましょう。
万物の終わりが近づいている。だから、心を確かにし、身を慎んで,努めて祈りなさい。何よりもまず、互いの愛を暑く保ちなさい。愛は多くの罪をおおうものである。(ペテロ第一の手紙4章7-8節)