今年から8月11日が「山の日」という祝日になりました。7月に「海の日」があるので、祝日のなかった8月にむりやり創ったという感じですが、サラリーマンの方には夏休みが長くとりやすくなったでしょうし、商売の人にはセールのネタが増えてよかったかも知れません。
山と言えばずいぶんいろいろと思い出がありますが、山歩きを最初に経験した17歳の夏の思い出をお話ししましょう。7月28日に京都を夜行列車で出発し、翌朝東京を経由して仙台へ、それから平泉、盛岡、宮古、田老、青森、十和田湖、大湯、そして途中出会った見知らぬ二人連れに同行して、秋田の竿灯祭りに2泊させてもらい、その後八幡平へ。今度は八幡平の藤七温泉で出会った東京から山歩きに来ていた二人連れに同行させてもらって、裏岩手連峰という八幡平から田沢湖までつづく山岳地帯を縦走したのです。もう一人、ひとり旅をしていた東京の郵便局に勤めているという人も加わって、二人連れが予約していた宿の部屋に一緒に寝かせてもらったりして、男四人の不思議で楽しい山旅をさせてもらいました。一応山歩きはできる格好はしているのですが、本格的な山歩きは初めてだった私は、毎年夏休みに二人で山歩きに出かけているという二人連れに山の常識をいろいろと教えてもらったり、なんと言っても分けてもらったレモンの丸かじりのおいしさは忘れられない思い出です。なぜか名前も明かさず、「水道局」「税務署」「郵便局」「学生」と呼び合って過ごした夢のような三日間でした。東京に住むようになった今、あの人達はどうしているだろうかと思い出すことがあります。さりげなく食べ物を分け合い、大きな荷物で後れがちな「郵便局」を気遣って行程をゆっくりにしたりして、人が共に歩むことの基本がそこにあったように思います。
天候によっては命に関わる危険もある山歩きですから、たとえ見ず知らずであってもお互いが助け合い、気遣い合うことが常識なのですが、もし通常のこの世の中でも、同じような思いで皆が社会生活をするなら、なんと気持ちよく生きることができるでしょうか。聖書を読みましょう。
わたしたちひとりびとりは、隣り人の徳を高めるために、
その益を図って彼らを喜ばすべきである。
(ローマ人へ手紙15章2節)
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